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キャリー取引終焉

トレーダーに非常に参考になる記事を拾ってきました。

「手法は状況に合わせて、変化させなければならない。」
ということですね。

以下参考記事、NIKKEI NET提供


ドル円急落による金利差手法の終えん(2008/3/18)

 3月17日、ドル円が急落したことで様々な市場に影響を与えてしまった。負の連鎖である。我々投資家は過去12年ドル円が101円を割り込む局面を経験していない。つまりここからは未知の領域に入ったのである。こういうところに、我々が予測していなかったような引き金が沢山あることが多い。

 本日18日の日本経済新聞に日経平均関連のノックイン商品(リスク限定型投信)が紹介してあったが、この類の商品は為替関連でも多く存在する。こういう商品の仕組みは、下がれば下がるほど売らなければならないようなスキームになっているものも多い。17日はこうした引き金を沢山引いてしまったのである。まだ、この他にもそうしたものは多く存在しているかもしれない。ドル円での円高が株価の急落を招き、それが、リスクマネーの縮小という形で円高を誘発する。その結果株価がさらに下がるという負の連鎖が起きているのである。

 一般的に、市場には2つの局面がある。落ち着いた動きをする理性的な相場と非常に不安定になる感情的な相場である。理性的な相場のときはファンダメンタルズに沿った安定した値動きをしていても、何かのきっかけで感情的な相場環境に変化すると、市場はヒステリーを起こして、理不尽な動きを始める。その際に最も危険なのは安定期に長く積みあがった取引の解消である。

 ここ数年の傾向として、2つのパターンがある。1つは世界経済拡大シナリオによるリスクの偏在である。それはここ数年の中国株やインド株の急騰を見ればよくわかると思う。もう1つは市場安定環境下での金利狙いを主体とした取引の急膨張である。市場が混乱するとこうした取引の解消が一気に始まる。

 まず、株価の動きを見ると、今年に入ってからの世界株式の下落を比較した場合、中国株、インド株などの下落率が他の市場に比べて大幅になっているのがわかる。期待が大きかった分だけ反動も大きいという典型である。

 為替市場でいうと高金利通貨への資金流入である。ここ数年、円を売って高金利通貨を買うという取引が非常に活発化した。狙いはもちろん金利狙いである。最近ではトルコ・リラなども嗜好(しこう)されるようになってきたが、これもトルコの経済の拡大に期待するというよりは高金利を狙っての投資資金の流入である。こうした取引は混乱時には非常にもろい。特に新興国通貨市場は、市場規模が非常に小さいために一度逆流を起こすと動きが主要通貨よりはるかに大きなものとなってしまう。

 17日、円高その他通貨安が進行する中、特に下落が目立ったのが韓国・ウォンや南アフリカ・ランドであるが、こうした通貨はまさにその典型である。

 サブプライムローン担保証券は元々、高い格付けを与えられたことによる投資家の甘えが生んだ問題である。市中金利でお金を借りて、高い利回りの債券で運用する。金利差を狙った典型的なキャリートレードである。こうした手法が一気に崩壊したのが、今回のサブプライムローン問題を深刻化させている元凶である。

 それまでうまく行っていた投資手法がある時期から逆に投資家を苦しめるという状況を我々はサブプライムローン担保証券のケースで見ている。こうした現実から我々は何かを学ばなければいけない。

 1つの投資手法は永遠ではない。何かをきっかけに逆に負の遺産となってしまうこともある。歴史はめぐる。10年スパンで考えれば、今回の混乱も1つの局面でしかなく、そういった投資手法を行っている人にとっては、今の局面はじっと耐えて乗り切ればよい。しかし、安易に金利を狙ったり、特に最近流行の外国為替証拠金取引(FX)でレバレッジをかけたりしている人は、最悪の事態を想定して、自分のお金を守るという原点にかえることが非常に大事だと思う。(FXマーケットウオッチ)



「レバレッジ」反対!「信用取引」反対!(08/3/17)

「ドル急落、1ドル=95円台突入」――。

 日本の経済力が強くなって円高になるのではなく、米国経済への信用崩壊から一方的にドルが売られる展開もとうとうここまで来てしまった。12年半ぶりとなる100円を大きく割り込む円高水準は、日本企業の収益を直撃する非常にネガティブな状況を生み出すことは間違いない。この水準が定着すれば、対前年同期比で20円程度の円高となってしまい、2008年度の輸出関連企業の業績はとりわけ上期において大幅な減益になることが避けられないからである。

とうとう日経平均は1万2000円割れに

 サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)とモノライン(金融保証会社)、そして世界経済の減速懸念にさらされて世界のマーケットは大揺れである。その最大の特徴は、震源地の米国よりも周辺各国のマーケットの株価下落が激しいことであり、日本市場も例外ではない。

 前回のコラム『「売られすぎ」は買う理由ではなくなった』において、日本株の売買の60%を外国人投資家が占めており、彼らが日本株の動きを決めていることを述べた。どうしてこの2年もの間、日本株市場は世界マーケットにおいてアンダーパフォームし続けるのか。大きな背景に日本の政策に対する失望感があると述べたが、英国エコノミスト誌は「JAPA”i”N」と題して、世界第2位の経済大国が政治家の失策から「苦痛に満ちた日本」なっているという特集を2月の終わりに組んだ。興味のある方はぜひ手にとって読んでいただきたいが、まさに外国人はこのような視点で日本を見ているということだ。道路財源、ガソリンの暫定税率、日銀総裁人事と最近の国会は空転ばかりしており、「世界から見放される日本」をさらにパワフルに演じている印象を強く受ける。

新たな局面入りを予感させる商品市況の動き

 商品先物相場がかつてない活況をみせている。原油が1バレル=110ドル近辺にまで上昇しただけではなく、金も1トロイオンス=1000ドルを突破。ニッケルやアルミニウムといった工業用原材料も軒並み上昇。加えて、小麦、トウモロコシ、砂糖といった穀物相場も暴騰している。

 私には、現在の商品市況の上昇は単なる株式市場からの資金の逃避やスペキュレーション(投機)によるものとは思えない。短期的な市場の活況という側面を越えて、現在の価格形成は長期的な転換期に入っているのではないか、という雰囲気を感じさせる。しかも、それは世界経済の勢力図を10年、20年という単位で大きく転換させるエンジンとしての根本的な流れである。

 すでに原油高騰によって中東諸国は信じられないくらいの外貨を稼いでおり、それが政府系ファンドという象徴的な形をとって金融市場における資金の出し手として活動し始めた。また、プーチン政権の下でロシアの経済復興が大成功した大きな要因は原油高による恩恵である。もし、原油価格が現状維持、あるいはまだ上昇するということになれば、この勢いは加速することになるだろう。現状では短期的な価格形成としても、長期的に新興国の経済発展が進めば、エネルギーに対する需要はまさに実需ベースで大きく膨らむことになるからだ。

 一方、トウモロコシや小麦などの食料品の原材料価格の高騰も象徴的な動きである。日本に限らず、これまで先進国では多くの国々で大なり小なり農業に対する補助政策が行われてきたが、農産物の高騰により農業に携わる人々への資金の流れが加速している。農産物も人口増加問題や新興国の食生活向上によって、長期的に消費量が大きく拡大する分野であり、農業政策が国家にとって今後重要な分野になってくるのは間違いないだろう。

問題なのは、日本はいずれの点においても他国に大きく依存していることであり、国際的立場としては非常に弱い状況に置かれている。

アナリストコメントに違和感

 東証二部上場の不動産会社スルガコーポレーション。

 地上げ費用として光誉実業に150億円もの資金を提供していたことが明らかとなり、株価は急落。急成長の裏にヤミの勢力が存在していたことが大きな社会問題となり、代表取締役会長兼社長の岩田一雄氏は社長退任を余儀なくされた。

 私が一番最近にスルガコーポレーションに企業取材したのは07年5月31日のことだが、当時のメモにこのような記述がある。「確かに業績は大きく伸びているが、07年3月期の営業キャッシュフローは390億円もの赤字となっているなど、自社の実力を超えたことを平気でおこなう企業との印象を受ける。銀行が資金を引き上げると一気にビジネスが縮小する体質」―。

 レバレッジ経営は、銀行からまず大量の借入れをしてビジネスを行うやり方であり、自分が取れるリスクを超越する、というところでビジネスをおこなっている。そのビジネスが傾くと、当然、借りたお金は返さねばならない。しかし、過大なレバレッジではすぐには返せなくなる。資金回収ができなければ、即アウトである。

 なぜ、こんな当たり前のことを述べたのかといえば、同社に関する事件発覚後のアナリストのコメントを読んでいて非常に驚いたからである。「07年12月末段階で1180億円の棚卸資産を有するため、資金繰りが急速に悪化する可能性は今のところ大きくないと考える」とはあまりにも物事の本質がわかっていない意見なのであきれてしまった。棚卸資産がもはや販売できないほどの社会的信用の失墜を食らった状況で、銀行が融資を引き上げようとすれば、これは即、企業存続の問題を突きつけられたのと同じであって、現在の株価急落はその可能性に向かって進んでいるからなのではないか。

 不動産価格の値動きは非常にユニークであり、小さなレンジで上がったり下がったりすることなどまずない。いったん価格がピークアウトすれば、そのトレンドはボトムアウトするまで下落が続き、逆に価格がボトムアウトすれば、ピークアウトするまで上昇が続く。不動産バブルの崩壊でようやく4―5年前に実需ベースで底入れし、その後一貫して上昇してきた不動産価格も昨今の状況でトレンドが変わり始めた。スルガ問題を抜きにしても最近の不動産関連銘柄が大きく下落しているのはおかしくないだろう。

 今となってはどうでもいいようなことであるが、岩田氏がアナリストやファンド・マネジャーに対して「先生、先生」と呼ぶのにも私は非常に違和感があり、「変な会社」という印象が強かった。

人生をレバレッジにかけた経営者

 これと似たようなことを個人資産ベースで大規模におこなったのが、グッドウィル・グループの前会長の折口雅博氏である。06年2月に250億円のMSCB(株価により条件が変わる転換社債)を発行し、それを折口氏の資産管理会社である折口総研に割り当て、全株が転換されて筆頭株主としての持ち株比率を高めた。

 私が最後に同社を企業取材したのは06年3月23日であり、ちょうど本件について会社側の説明を聞くことができた。「目的は敵対的買収を防ぐこと」「株式取得のための資金は借入金」「配当性向を50%とし、借金返済の原資に配当金を充てていく」「これで業績を上げて配当金を増やさなければ借金も返済できず、株主利益と経営者利益は合致する」ということを熱心に話していた。

 「それにしても、社長個人がこうも大胆なことができるのか」というのが当時の私の感想であった。なぜならば、折口氏の本意は会社側が説明したようなところにはなく、とにかく資本主義を生かして個人資産を最大限に享受するためには、この方法が最も手っ取り早い、ということだったのだろう。

 結局のところ、介護事業の不正、人材派遣ビジネスのつまずきで、業績は赤字に転落するとともに株価は急落し、とても莫大な債務を返済できる状況にはなくなってしまった。人生に過度なレバレッジをかけて、それが全部ひっくり返ったという例である。そしてその結末は、米国投資ファンドのサーベラスグループとモルガン・スタンレー証券が普通株式および優先株式を非常に低価格で引き受けるという形で幕引きされようとしている。

最終的に「負けるゲーム」

 私は個人的に「信用取引」には反対である。信用取引は「たった1回の失敗で致命的痛手を受ける」リスクを常にはらむからだ。自分の金融資産の許容リスクに見合った範囲で行うのならばまだしも、たいていの場合そうではないことが多い。信用取引に参加するのならば、保有ポジションが損失を抱えた時に、それに関連して発生する追い証や損失額が自らの金融資産に対してどれくらいのインパクトがあるのか、という点を常に明確に把握していないといけない。マーケットは自分の想定を超えるような「予期せぬ出来事がいつでも起こりうる」からである。

 たいていの場合そうではない、というのは、途中まで株式投資がうまくいって成果をあげている人であればあるほど信用取引を拡大し(リスクのとり方が自己の許容範囲を超えてくる)、その後どこかで大きなクラッシュをすると取り返しがつかない、というのが典型的なパターンだからだ。このような形で投資行動するのがごく一般的な投資家の姿であるとするならば、いくら途中で成果をあげていても、必ず最終的には「負けるゲーム」をやっているのと同じことである。「信用取引」というスタイルは、一般的な個人投資家において金融資産を殖やすやり方としてはそもそも間違った取り組みであると私は考えている。

 株式委託手数料が値下げ競争によってほとんどタダ同然近くまで下がり、これとは引きかえに信用取引に注力して収益を上げようとする最近の証券会社の姿を見るにつけ、私は心が痛む。証券会社は投資家が儲けようが損をしようが、取引量が拡大すればするほど収益が上がる仕組みだ。昨今のような下落相場ばかりが続くご時世で、信用取引によって家庭そのものが破綻するような人々が増えていると聞く。今一度、信用取引をしている人たちに対して、「あなたのレバレッジは大丈夫か?」と問いかけてみたい。

過去の歴史を振り返ってみると…

 さて、最後にマーケットについて話を戻す。

 さすがにここまで下落すると、個別銘柄ベースでは「馬鹿げているほど安い」「普段は絶対ありえないバリュエーション」という銘柄が非常に多く目につく。私の本業であるファンド・マネジャーとしての仕事では、このような銘柄をありがたく拾っていくしかない。ただし、前回のコラムで述べたように、市場全体としてはまだ買い手がいない。だから、「割安」自体が「株を買おう」という理由にはならない状況が続いている。さらに、最近の円高によって日本の輸出関連企業も業績減速懸念によって「株価は決して割安ではない」という見方が根強く、売り手多数の状況は解消されない。

 だが、このような状況が永遠に続くことなどありえない。しかし、いつ収束するかわからないというのが正直なところだ。歴史にヒントを求めるとすれば、外国人投資家が日本に対して嫌気がさすのはサイクル的におこっており、一番直近では03年の春がそうだった。それはインターネットバブル崩壊の陰の極であり、その後株式市場は底入れに転じた。また、ファンダメンタルズにおいて上期に大幅減益を記録した一番最近の例は05年度の上期である。その後下期の回復基調が鮮明となり、株式市場はすさまじい勢いで上昇することになった。

(JPモルガン・アセット・マネジメントマネジングディレクター シニア・ポートフォリオ・マネジャー 太田 忠 氏寄稿

「売られすぎ」は買う理由でなくなった(08/1/21)

 2008年を迎え、年明けから世界の株式市場は記録的ともいえる大波乱の展開になっている。昨年、日本の市場を痛めつけた米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題はそれ自身の問題として収まらず、その影響が想定以上に大きくなっているためだ。半年前まではほとんど意識されてこなかった「リセッション」が現実味を帯びてきている。

ブッシュ声明も市場は評価せず

 ブッシュ米大統領は1月18日、緊急の景気対策の骨子を発表した。個人向けの減税と法人向けの設備投資を促すための優遇税制を行い、その規模は最大で1500億ドル(米国GDPの1%に相当)というものである。しかしながら、朝方上昇していたダウ工業株30種平均も急速に値を下げてしまい、結局は59ドル安の1万2099ドルで引ける展開となった。これを受けて21日の日本市場は、日経平均株価が535円下落の1万3325円の年初来安値を更新した。

 米連邦準備理事会(FRB)はもう一段の政策金利の引き下げをすでに表明しているが、これも株価の支援材料にはなっていない。一般的な株式投資のロジックでは「金利低下=株価上昇」ということになるが、これまでの米国の政策金利と株価の連動性は非常に高く相関関係をなしている。すなわち金利が上がる局面で株価は総じて上昇しており(景気拡大をうまくFRBが誘導している)、金利が下がる局面で株価は下落する(金利を下げないと経済がうまくいかない、すなわち金利を下げないといけないほど状況は悪い)のである。07年の半ばより米国ではすでに4度の金利引き下げがおこなわれているが、さらなる引き下げは決して株式市場にはプラスではない、と見る必要がある。

買い手不在の全面安続く

 昨年の11月から日本市場はダウンサイド局面に入っているが、その中で特筆すべき現象がある。それは、中間決算が好業績かつ上方修正を発表した企業で、それまでの株価のパフォーマンスが良かった企業ほど下落率が高くなっているという点である。

 私は中小型株運用を行うと同時に毎日、市場全体の動きをファクター分析モデルを使ってウオッチしているが、「好業績かつ割安」銘柄が「業績不調かつ割高」銘柄に対して大きくアンダーパフォームしているのである。

 そして、今や東証1部銘柄のうち約半分が株価純資産倍率(PBR)1倍以下、20%の銘柄が株価収益率(PER)10倍を割るという、ここ何年もお目にかかったことのないレベルにまで株価は下落している。数多くのテクニカル指標でもことごとく「買い」のサインが出ているが、米国の株価下落により全面安の展開が続き下げ止まらない。いくら株価が過去との比較で「割安」になったり、「売られすぎ」たりしても、買い意欲のある投資家が存在しない限り需給関係で株価は下がっていく。ファンダメンタルズが機能しない状況が常態化している。昨年の秋からようやくリバウンド局面に入った新興市場も投げ売りによって安値を更新してしまった。

 現在の株価水準が正しいとすれば、08年度の上場企業の業績は世界経済減速、円高、原油高、物価上昇、消費減退によって減益になるシナリオが成立しなければならない。

日本株の動きを決める外国人投資家

 現在の日本の株式市場の実に60%の売買が外国人投資家によって行われている。これが、日本株市場のボラティリティー(変動率)が世界の株式市場に比較して大きくなっている要因になっていることは間違いないだろう。しかもその傾向は急速に強まっている印象を受ける。

 06年および07年の世界の株式市場はおおむね堅調であり、とりわけ新興国において大幅な上昇を記録した。その半面、日本株市場は主要マーケットの中でもほぼ最下位のレベルが続き、とくに日本の新興市場は惨状を呈している。

 グローバル投資家は当然パフォーマンスの良い国や地域を求めて資金を動かしていく。「株価が上がらない」部分を持つのはアセットアロケーションにおいて致命的であるし、ましてや「株価が下がる」ということになるとポジションを整理するのは当然のことである。これが日本株が「売る」「下がる」「売る」「下がる」の悪循環を続けることに関与している。決して日本の企業が世界比較で地盤沈下が起こっているわけではないのに、アンダーパフォームしているのはそういう背景がある。

 そして、無視できないのが日本の政策に対する失望感であり、わが国の株式市場にとって非常に大きな問題だ。外国人投資家はその国の方向性には非常に敏感であり、投資判断の大きな要素のひとつである。たとえば、小泉政権が郵政民営化で衆議院選挙に圧勝した05年8月において明らかに外国人の日本に対する見方が変わった。日本経済のファンダメンタルズをつかさどる財政状態や企業業績が大きく変化したわけではない。メッセージがクリアだったのである。その後、安倍政権、そして福田政権へと引き継がれて構造改革の意思が弱まっているのは確かだろう。クリアなメッセージが出ていない。一方で財政状態や企業業績が大きく悪化したわけではない。彼らはトップダウン的な見方でアセットアロケーションを配分する面が強いため、いくら個別企業の業績が良くても、日本を見なくなってしまったらそういう側面はことごとく無視される。

もうひとつの懸念材料「規制強化」

 そして私が懸念しているのは日本の経済活動の水面下で「規制強化」が猛烈に進行していることである。1999年から2000年のインターネットバブルを迎える数年前より、政府は規制緩和を積極的に進めてきた。その目的は健全なる競争原理を働かせながら、企業が自由に経済活動を謳歌(おうか)できるという流れを作り出すことである。そうした環境の中で、多くの企業に活躍の場が積極的に培われることになった。

 ところが、規制強化は全く正反対の流れである。その影響は特に中小企業において大きく、中小型株市場にとって構造的な問題を引き起こしている。

 「消費者金融は儲けすぎだ」「上限金利が高すぎる」「支払えない人々の社会問題をどうするのか」という論調の下、金融庁主導で壊滅的な影響を受けた消費者金融業界。すでに中堅企業のクレディアが倒産してしまったが、大手といえども青息吐息の状況である。過払い金利返還の負担が莫大(ばくだい)であることや、金利が下がることによる収入の減少は大きな問題であるには違いないが、決定的なネガティブインパクトは融資残高が急激にしぼんでしまうことである。融資額がしぼんでも資金を融資してもらいたい人々の数が減るわけではない。そこまで日本経済は良くなっていない。借りる先が閉ざされた個人に法定金利とは違う仕組みで貸し付けるヤミ金融業者が暗躍し、急速に存在感を増してきていると業界関係者から聞いている。健全に借りて返済する、という人々までもが規制強化で閉ざされてしまっていないだろうか。

 昨今の人材派遣ビジネスも衝撃的な事態に直面している。「フリーター」という言葉がメディアによってさかんに耳にするようになったのは今から10年前くらいであろうか。「正社員に拘束されることなく、自分の夢を追求するという人々にとっての魅力的な生き方」というニュアンスで持ち上げられ、大学卒でも社会人として正社員の道を選ばない人々が急増した。ところが、今や「フリーター」=「格差問題」という公式が成り立ってはいけない、ということで政府の主導の下、その是正が急激に進んでいる。その極端な表れが人材派遣大手のグッドウィル・グループやフルキャストの営業停止問題であろう。もちろん、二重派遣のようなそもそも法令違反をおこなうこと自体、その非は批判されて当然であるが、彼らに出された過酷ともいえる政策措置は「人材派遣ビジネス」つぶしに私には映る。

 かつては派遣業種の拡大による規制緩和で伸びてきた業界だが、現在は死に体の状況である。「正社員になる働きかたは不都合だ」という本来のパートタイム的な働き方を求めている人々をも苦しめるような方向には進んでいないだろうか。

 ほかにもいろいろある。金融商品取引法、パチンコ業界における射幸性の高い機種の制限強化、建築基準法の改正、不動産流動化ビジネスに対する監視の強化なども明らかに規制強化の一環である。いずれも、「法制度の不備」「不正削減」という目指す方向性は間違っていないが、政府が直接関与してくると健全なる機能面にまで影響が及び、一時的に業界を窒息させてしまう場合が多い(ひどい場合には消費者金融業のように溺死(できし)に至る)。

楽観的ではいけない

 「日本の株安はまだ一喜一憂する状態ではない」という政府の要職者のコメントが出ているが、私はそんなに楽観的にはいられない。この状況が続けば、「日本株」の存在意義が失われ、世界から当面見放されてしまう可能性がある。そうなれば「貯蓄から投資へ」の流れも絶たれ、資金運用そのものがシュリンクしてしまうことになる。政府はその点をもっと意識すべきなのではないか。

(JPモルガン・アセット・マネジメントマネジングディレクター シニア・ポートフォリオ・マネジャー 太田 忠 氏寄稿)


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